設立の趣意および現況

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日本バイオセラピィ学会設立の趣意

BRM(Biological Response Modifiers)は1975年Dr.V.T.De Vitaが提唱した概念である。

すなわち,「がん細胞に対する宿主の生物学的反応を変化させることによって,がんと宿主との関係を是正し,それによりがんに対して治療効果を上げる物質または試み」で,がんの免疫療法研究の過程で生まれたものである。BRMの定義からして,またがん治療の多様性から,その応用範囲は極めて広いことがわかる。BMR研究の対象疾患はがんのみならず,自己免疫不全症にも広がりつつある。

がんの治療は外科,放射線,化学療法と進歩を遂げ,さらに免疫療法が導入されたが,思うようには成果が上がっていない。

しかし,われわれは今新しい時代に入りつつある。すなわち,生命現象を分子の言葉で記述し,得られた基礎的知識を技術開発にもっていける時代となってきた。最近の遺伝子工学,細胞工学などBioscienceの進歩はがんの発生進展における生物学的プロセスを分子レベルで分析し,病理学的に理解し得るようになりつつある。そこに生物学的治療法(Biotherapy)が本格的に展開されようとしている。

日本バイオセラピィ学会はがんの生物学的治療研究のための研究者の集まりであり,学術集会を通じて情報や意見の交換をはかり,かつ討論していくことによってがん征服へ寄与しようとするものである。

したがって医学臨床研究者のみならず医学・薬学・生物学など,どんな領域の基礎的研究者でも生物科学・人間科学に関心のある人々の参加を広く呼びかけるものである。

日本バイオセラピィ学会の現況

上記学会設立の趣意に示したように,本学会は生物活性物質(BRM)の研究をとおして,がんとがん関連疾患に対する生物学的治療に貢献することを目的として,当初,JBRM学会の名称でスタート致しました。

その後,疾患の病態解析が細胞レベルあるいは分子レベルで理解可能となり,抗体療法や細胞療法あるいは分子標的治療といった新たなバイオセラピィの開発および実践の場として貢献して参りました。

さらに,がんに加えアレルギー性疾患,炎症性疾患など,バイオセラピィの対象疾患が急速に増加し,それに伴う会員数の増加と構成会員の多様化により学会の研究内容をより的確に表現した「日本バイオセラピィ学会」へと名称が変更されました。

現在では,毎回,がんをはじめ様々な疾患に対するバイオセラピィに関連した500名近い多彩な参加者により白熱した討議が行われ,学会としても今後のバイオセラピィ開発・実践の基本となる「がん治療用ペプチドワクチンガイダンス」などを作成(ホームページ掲載)するなど本学会の果たす役割は益々増加してきております。